第四話
ザーザー。
今日は雨。
ぐるみぃ達が住むゴミの島では雨が降っています。
「あーあ。雨ってなんだか退屈だなー」
つぎはぎうさぎの家に遊びにきていたミイパンダが言いました。
「仕方ないだろう」
つぎはぎうさぎはそう言いながら雨漏りしてきたところを直していきます。
すると窓からか、カエルの鳴き声が響いてきました。
ケロケロケロケロ
「ああ、カエルか。もうそんな時期になったんだな」
つぎはぎうさぎが言いました。
しばらくするとカエルの鳴き声がこっちに近づいてきました。
「な、なんだ?」
つぎはぎうさぎはなんだか気になって、外へ飛び出しました。
するとそこにはカエルがたくさんいるのと同時に。
ぐるみぃ達と同じ、カエルのぬいぐるみが、ハスの葉っぱを傘の代わりにして歩いていたのです。
「あっ、こんにちはぁ」
穏やかに挨拶するカエルに、つぎはぎうさぎはどきりとなりました。
「こっ、こんにちは・・・」
つぎはぎうさぎはそう挨拶をします。
「僕、引越しの際に捨てられてぐるみぃになった、カエルのぬいぐるみです。
マスケロというです。よろしくなのです」
マスケロはそう丁寧に説明しました。
「そうか、マスケロ。俺はつぎはぎうさぎだ。俺も同じように捨てられたぬいぐるみの一人だ。せっかくだし、料理でもご馳走してあげようか」
「それは嬉しいです」
つぎはぎうさぎがそう提案すると、マスケロの目がキラキラ輝いているように見えました。
つぎはぎうさぎの家に入り、マスケロがテーブルの椅子に座り込むと、こんなことを言いました。
「僕は、ハエが好きです。たまにハエを追いかけたりします」
「ハエって・・・ああ、そうか」
一瞬にして驚くつぎはぎうさぎに、がんたいねこは顔を傾げました。
「ハエがどうかしたのかい。うさぎさん」
「ああ、カエルの食料は、ハエとかゴキブリとかミミズとか、そう言うものを食べるそうだ」
「へぇ・・知らなかった」
がんたいねこがあっけにとられたかのように呟くと、マスケロが頷きました。
「はい、そうですけど。どちらかというと虫より魚が好きなんです。えっと・・金魚とかメダカとか・・・そう言うのが好きなんです」
マスケロが少しだけ顔を真っ赤にして言いました。
「うーん、そうだな。今は人参しかないから、今度メダカとか捕まえてやるよ」
つぎはぎうさぎが言いました。
「いえ、お構いなく。つぎはぎ・・うさぎ、さん?は人参が好きなようですね。まぁ、うさぎだからですけど・・・僕、人参食べてみたいです」
「お、そうか?じゃあ、今日の料理、腕を振るおうかな!」
つぎはぎうさぎがそう言うと、キッチンへ入って行きました。
すると、がんたいねこがマスケロの顔をじっと見つめはじめました。
「それにしても、マスケロくんのマスク、かっこいいね」
「ふえっ」
マスケロが驚いて変な声が出ました。すると緑色の顔が、少しだけ赤くなりました。
「ぼっ、僕・・・少し、コンプレックスというもので、僕の口はつぎはぎなんです」
「えっ、そうなの?それじゃあ食べられないじゃない」
「はぁ・・でも、食べられる部分だけはちゃんと解いているのです」
「そっかぁ、じゃあご飯が食べられるね!」
がんたいねこがそう言った途端、つぎはぎうさぎが料理を持ってきました。
「マスケロさんのリクエストだ!今日のご飯は、人参の煮物だぞ!」
「わぁ・・・美味しそう。いただきます」
マスケロは嬉しそうにマスクを外して、つぎはぎうさぎの料理を食べ始めました。
「美味しいです!」
マスケロがそういうと、つぎはぎうさぎは嬉しそうに頷きました。
すると、窓から綺麗な光が差してきました。
「おい、みんな!晴れたぞ!」
ミイパンダが大はしゃぎで言いました。
「ふふっ、もしかしたらマスケロくんが笑ったから、天気さんも嬉しそうになったんじゃないかな」
がんたいねこが言います。
「そ、そうですか?、僕にはイマイチわかりません・・・」
マスケロが首を傾げて言います。
「まぁまぁ、考えることよりも、先に食べたほうがいいよ。あとでみんなにも紹介してあげないとな」
つぎはぎうさぎはそう言って窓を見上げます。
晴れた空には綺麗な虹がかかっていました。
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