第一話
ここは「ぐるみぃ」と呼ばれるぬいぐるみが住むゴミの島。
つぎはぎだらけのうさぎのぬいぐるみの『つぎはぎうさぎ』は、「新しいのがいいから」という理由で捨てられ、今じゃ「ぐるみぃ」の一人です。
そんなうさぎの夢は、また人間に大事にされることです。
うさぎは大事にされた温もりが忘れられず、また愛してもらいたいと勉強をしています。
「うーさーぎーさん!」
「あっ、がんたいねこさん」
うさぎがふり返ると、そこには眼帯をつけた、
ねこのぬいぐるみの『がんたいねこ』が遊びにきていました。
「うさぎさん今日はね、可愛いアップリケを見つけたんだ」
がんたいねこは、おしゃれ好きで、可愛いアップリケやボタン集めが
趣味なぬいぐるみです。
ねこはさっとちょうちょのアップリケを見せました。
「わぁ、本当に可愛いな」
「そうでしょ?今度、うさぎさんがほつれそうになったら、これでぬいつけてあげるよ」
「うん、ありがとう」
うさぎとねこはそう言って笑いました。
つぎはぎうさぎは、がんたいねこと別れた後、ご飯を作る事にしました。
うさぎは料理が得意です。
今日も家の中にある、にんじん畑でにんじんを引っこ抜いています。
すると突然、カベからミイラのようなパンダのぬいぐるみ『ミイラぱんだ』が飛び出してきました。
ばりーん!!
「つぎはぎうさぎさん!遊びにきたぜ!」
「ぱんださん!いつもカベをこわすなって言っただろ!」
うさぎの家はソファの中ですが、カベは古びた木で作られているので、かんたんに破れてしまいます。
「まぁまぁそう固い事言わずに、一緒にご飯食べよう。面白い話を持ってきたんだ」
ミイラぱんだは、おしゃべり好きで、すぐだれかに話をしたがります。
「わかった。一緒に食べよう。カベは治しておけよ」
うさぎははぁとため息をつきながら言いました。
ぱんだはにんじんステーキを食べながら一方的に話を終えると、帰っていきました。
するとつぎはぎうさぎは家で役に立ちそうなゴミを探す事にしました。
「ぱんださんはいつもカベをぶち破るからな・・・固い金属らしいものがあれば良いんだけど・・・」
するとそこに。
「あっ、うさぎさん!」
犬のぬいぐるみのぬいぬいが、同じ様にガラスの破片を拾いながらうさぎの名前を呼びました。
「ぬいぬいもゴミ拾いをしているのか?」
ぬいぬいはとても意地っ張りですが、とても器用です。
「このガラスを家にはり付けるんだ。見た目もキレイになるだろう」
「そうか。おれもやろうかな」
二人はそう言いながらガラスの破片を拾い続けました。
そしてうさぎはガラスの破片をカベにはり付けると、しろくまとくまのぬいぐるみが近づいてきました。
「へろくまさんに、くまみちゃん」
うさぎは二人を見て声をかけました。
へろくまは、くまみより先に作られたしろくまのぬいぐるみで、くまみの兄です。
「あっ、くまみちゃん、そのお花可愛いね」
うさぎはそう言ってくまみが持っているお花に目を向けました。
くまみは可愛いものが大好きでいつもお花や捨てられたおもちゃを持ち帰ってきます。
「うん、家にかざるの」
「そうか、今度、見に行ってもいいかな」
「うん、いいよ」
「それじゃあ、おれたちは帰るよ。くまみ行くよ」
へろくまはそう言ってくまみの手を引きました。
「うさぎさん、また明日」
「うん、また明日」
その夜。
うさぎはまた勉強をした後、缶詰でできたベットにもぐりこみ、ベットの中ですやすやと眠りました。
そして夢をみたのです。。
それは、かつて彼の持ち主だった人間の男の子と遊ぶ夢です。
うさぎはそんな夢を見て、少しさびしくなりました。
つぎはぎうさぎはこの夢と同じ様に大事にされる日がくるのでしょうか。
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